NIPT検査日
モダモダ考えているうちに検査の日が来ました。夫婦揃ってカウンセリングを受けて下さいと言われていたので夫にも会社を休んでもらい、2人で向かいました。
検査をする大学病院は家から電車で1時間半もかかる場所にあり、車でも1時間かかります。
私のつわりがどうにか我慢できるレベルだったので、定刻通りに着くように電車で行きました。
大学病院に着いて受付を済ませたとき、研修医が見学するかもしれません等の説明がありました。よく聞く話ですが、仕方ないとはいえ妊婦として喜ばしい状況にないときに大勢に見られながら診察を受けることはしんどいですね。
診察自体は産婦人科ではなく遺伝子科というところを案内されました。
地下フロアにポツンとあって、しかも臨時に作られたような狭い診察室で暗い気持ちに拍車がかかりそうでした…
そのうえ、コロナ対策だと思いますが、部屋のドアを開け放していて、話の内容がデリケートなのに外に筒抜け状態で嫌だなと思いました。
カウンセリングは1人の男性医師により始まりましたが、結論から言うと事前のカウンセリングはなくても良かったかなという印象です。
カウンセリングを受ける意味としては検査結果が出たときの方が非常に重要に感じました。
事前のカウンセリングの方はネットで調べられる程度の情報を淡々と聞いて終わりました。
染色体異常についてよくよく勉強されている妊婦さんであれば最初から突っ込んだ質問や相談ができた時間なのかもしれませんが、私たちは既にかかりつけの医師から詳しく聞いていたのもあり、疑問も相談事も特に思い浮かばなかったので、とにかく今日検査をして帰りたいのだということを伝えました。
検査の説明の際、この病院にはNTを正確に計測できる専門医がいて、NIPTの前に超音波検査を受けることもできるがどうするかと聞かれました。実は電話予約時にも同じことを案内されたのですが、別料金(3万近くかかる)のため断っていました。
しかし、このとき夫が珍しく「受けておけばいいじゃん」と言い、受ける申出をしました。
夫の言葉が意外だなと思いつつ、彼としてはやれることは全部やるべきというスタンスなんだなと理解しました。
残念ながら、事前に予約しなかったのでその専門医が席を外してしまい、今日中に超音波検査が受けられない、受けるなら後日来て欲しいとなりました。NIPTは今日中に受けて帰りたかったので、超音波検査は断念しました。
今日も今日とて私の段取り悪すぎグダグダっぷりが発揮されております。
カウンセリングの医師は案内しておきながら「一応病院としてご案内はしたんですが、正確なNT計測というのは実際のところ大きな意味はありません。計り直したところでNTがあったという事実に変わりはありませんので個人的に検査前の超音波検査を強くお勧めはしません」という裏話をつけてくれました。
NTというのは13週を過ぎると染色体異常があろうとなかろうと小さくなったり消えたりするそうなので、現在何ミリというよりは11週〜13週のときにどれくらいあったのかが重要とのことです。
3万円無駄になるところだったじゃあないですか、という話ですがまぁ…
そんなこんなでカウンセリングは30分もかからず終わり、NIPTは血液検査だけなので血液検査室に行きすぐに終わりました。
血液を採ってくれた看護師さんによると、「NIPTは普通の血液検査と違って採り方がすごく細かくてうるさいのよ〜」と話してくれました。
間違ったら検査が無効になることもあるから手順通り一つ一つ慎重にやっているとのことで患者としては非常に有難いです。
久しぶりに遠出したので帰りはラーメンを食べました。
NIPTだけでいいのかな
さて、NIPTの予約をしてから実際の検査までは2週間の時間があり、他に何かできることはないかと考えていました。
私のかかりつけの産院では外部の専門医による胎児エコー外来を受けることができることをこの間に知りました。
胎児ドッグとも呼ばれている超音波の精密検査で、費用はNIPT等に比べると良心的です。
通常の妊婦検診に比べ、より詳しく胎児の様子を見てくれるとのことで、心臓の動きや頭、顔、手足、臓器など出来ているパーツに異常がないかどうか確認できるそうです。
NIPTは3種の染色体異常しかわからないので、他の病気や異常も見つけることができるこの胎児エコー外来はタイミングが合えば是非受けたいと思いました。
そう、タイミングが本当に難しい。それぞれの検査には適した週数がありますが、全て受けようとすると時間の調整が難儀であったりします。
胎児エコー外来については、私が知ったときには時既に遅しでして、初期の検査に適した週数が12〜13週のため予約を取り損ねてしまいました。
同様の検査は中期もありますが、20週以降になるので16週から受けられる羊水検査の方が早いスケジュールになります。
20週以降となると、中期中絶に間に合わない可能性があるので、妊娠継続可否を検討するために受ける検査としては難しいなと思いました。
NIPT、絨毛検査、胎児ドッグ、羊水検査…これらをタイミングよくスムーズに受けることは非常に難しいと思いますし、費用もかなりかかります。
検査を受ける意義は、自分たちが何を知りたいか、確かめたいかに掛かっています。
赤ちゃんに何らかの異常がわかったとき、どうしたいのかを事前に夫婦で話し合っておくことが最も大切なことで、それができていれば段取りも上手く進めることができると思います。
偉そうに書いていますが、私は焦ってしまい、段取りは上手くできませんでした。異常があれば妊娠継続は諦めると夫婦で決めていましたが、結局のところ何の検査がその結論を出してくれるのか、よくわかりませんでした。
はっきりしているのは、これから受ける検査で3種の染色体異常かどうかを調べられるということだけです。
ではこの3種が陰性ならそれでいいのかというとそうではなく…モヤモヤしたまま進むしかありません。
NIPTを受ける施設の選定
*こちらは個人の体験ブログのため、NIPTの正確な情報はしかるべきところでご確認下さい
私たち夫婦は、今回のような浮腫がなかったとしても高齢のためNIPTは受けるつもりでいました。
NIPTは血液を採取するだけの負担もリスクも少ない検査で、対象の染色体異常は21、18、13トリソミーの3種(非認可施設ではそれ以外も検査可能)となっており、確定診断にはならないものの判定精度は90%を超える高さとのことです。
週数が早い段階で受けることができるのもメリットの一つで、行動が早い人は10週辺りで受けられるように事前に予約するそうですが、医師からはエコーで異常が見られない限り妊婦検診で積極的に勧められることは少ないかと思います。
NTと呼ばれる浮腫は11週〜13週の計測が適しているそうなので、タイミング的にこの間の検診がない場合は浮腫があったのかどうかわからないということも考えられます。
エコーの所見に関係なく受ける方というのは情報収集に長けているという印象です。
施設についてかかりつけの産院からは、
「認可施設は紹介できるが認可じゃないところは怪しい病院も多いから止めておきなさい」
と言われ、迷いました。
認可施設と非認可施設は双方にメリットデメリットがあり、私は時間のメリットが大きい非認可施設で受けたいと思っていました。
浮腫の件もあり、陽性になった場合を想定し中期中絶の可能な週数かつ最短で全ての結果が出せるように予定を組みたかったのです。
非認可施設ですぐに検査すれば陽性の場合でも羊水検査ではなく絨毛検査でより早く確定診断できるのではと考えたりもしました。
その頃の私は、中期中絶への恐怖からできるだけ早く確定させるにはどうすれば良いのかということしか考えられなくなっていました。
担当の先生は私のように異常=中絶という考えを持っている妊婦に、遺伝カウンセリングがないような非認可施設は危険と判断したのかもしれません。
なお、非認可施設でもしっかりとカウンセリングをしているところもあるらしいので、よくよく調べて施設を選ぶと良いと思います。
私は既に12週を過ぎていたので、迷っていられる時間もそんなになく、とりあえず予約だけでも取っておこうと紹介された認可施設に連絡をしました。
紹介先の認可施設ではNIPTが陽性の場合はそのまま羊水検査を実質無償で受けられるということで私の状況的には都合が良かったと思います。
しかし、認可施設は大学病院のため、平日しか受診ができず、また病院側が日程を指定してするため、予約が取れたのは最短で2週間後でした。
予約した後も、直ぐ受けられてかつ1週間程度で結果が出る施設にした方がいいのか、3種(21、18、13トリソミー)以外の染色体異常も調べるべきか等、毎日ネットで調べていました。
個人的に感じたメリットデメリットは以下です。
【認可施設】
メリット:
・カウンセリングがしっかりしている
・NT計測や遺伝子学等各種専門の医師がいる
・NIPT陽性の場合は羊水検査までフォローされている、費用も別途かからず含まれていることが多い
デメリット:
・混雑や診察時間等予約が取りにくい
・紹介状必須またはその施設で分娩予約をしている人しか受付ていない場合がある
・結果まで時間がかかる
・35歳以下は受ける条件が厳しい
・夫婦やパートナー揃ってのカウンセリングが必須の場合もある
・3種の染色体異常しか調べられない
・性別は教えてもらえない
・費用を抑えるプランは基本的にない
・施設が少なく家から遠い場合がある
【非認可施設】
メリット:
・曜日や診察時間について選択の幅が広い
・紹介状不要
・結果は1週間程度で出るところが多い
・家から近い施設が見つかりやすい
・3種以外の染色体異常も調べることができる
・費用が抑えられるプランがある
・年齢制限がない
・性別を知ることができる
デメリット:
・カウンセリングやフォローがない施設がある
・専門の医師やカウンセラーがいない場合がある
・羊水検査について、別の施設で探さなければいけない、費用が別途かかる等がある
・検査をする機関の信頼性が低い場合がある
・かかりつけの医師が賛成しなかったり信頼関係が悪化する場合がある
書き出すと非認可施設の方がメリットが多く感じますが、非認可施設の中には単なる代理店としての機能しか持たない施設や実際に検査をする機関(NIPTは認可も非認可も海外の機関を利用)が信頼性に足るのか疑わしい場合があるそうです。
特に浮腫やエコーの指摘がない場合、安くて早い施設を選びたくなりますが、思いがけず陽性になったとき、どこにも頼れず孤独を感じてしまうかもしれないことを頭の片隅に置いておく必要があります。
結局、私自身は最初に予約した大学病院に決めました。陽性になった場合のフォローやかかりつけの医師との関係性を考えた結果、それが一番自分たちに最適であると判断しました。
施設を選ぶことだけで非常に面倒というかややこしさを感じます。ただでさえ毎日が不安な妊婦さんたちがこれを自分たちで選択しなければならないことは疑問です。
日本でも諸外国のように保険診療や妊婦検診の一つとして検査してもらえる日が来ることを願います。
12週の検診で浮腫の指摘
皮肉なことに、頑張ろうと決めた矢先の妊婦検診で異常が発見されることとなりました。
初期の検診は経膣エコーで様子を見ることから始まります。私は流産の経験があるため、検診のときはエコーが体に入った瞬間にまずは心拍が聞こえるかを気にしていました。
心拍は普通に聞こえたので安心したのも束の間、先生がさらっと言います。
「ちょっと浮腫んでるね」
「高齢出産というのはこういうことがリスクとしてあるんですよ」
担当の先生は事実を淡々と説明するタイプでした。人によっては冷たく感じるかもしれない話し方です。
医師との関係というのはなかなかに難しいものがあります。
こういうとき、優しくオブラートに包みながら説明されるのが良いのか、情を挟まず淡々と説明されるのが良いのかは人それぞれです。
私は今回はこういう状況だったので、淡々と説明される方が変に感情的になることもなく聞くことができて合っていたかなという印象です。
経腹エコーでもじっくり見てくれましたが、結果、浮腫は5ミリもありました。
浮腫はNTとも呼ばれ、3ミリ以上になると何らかの異常がある可能性が高くなるというものです。
私の場合は素人目にもわかるくらいにはっきりと分厚い浮腫が見えました。
というか、頸部どころじゃなく全身浮腫んでいるように見えました。
その後は染色体異常や浮腫の原因となる病気な可能性などを説明してもらいましたが、浮腫の厚みと年齢を加味した確率を見ていろいろと察しました。
私の場合は染色体異常の可能性は50%でした。
1/2の確率、かなり高いです。
病院を出る頃にはすっかり諦めモードでした。
担当の先生からはNIPTを受けることを勧められました。確定検査としては絨毛検査か羊水検査だけれども、安心するためにも早く受けられるNIPTが良いでしょうとのことでした。
この時点ではまだ異常があるかはわからない、浮腫があっても健康に産まれてくる子もいる、NIPTが陰性であればそこは安心していいし、その後心臓に異常がないかエコーでしっかりと診ていけばいい、と先生は前向きに説明してくれました。
ちなみに絨毛検査と羊水検査はどちらもリスクがある、もし受けるなら羊水検査の方がいいと説明されました。
体験ブログ等を見ると絨毛検査を受けてる方も沢山いるので、この辺は医師の考え方もあるのかなと思います。
絨毛検査は羊水検査よりも早い週数から受けられるので、私はそっちの方が良さそうだけどなぁと感じました。
この一連の検査の時期についてはいろいろ考えさせられることがありました。それはまた別途書きたいと思います。
私はこの検診の後、希望は全く持てませんでした。仮に染色体異常じゃなくても心臓の病気かもしれない、どこかに障害があるかもしれない、そういう方向にしか考えられませんでした。5ミリの浮腫の画像がどうしても健康な胎児に見えなかったのです。
前日譚
今回の妊娠までの経緯をざっくりと書きます。
私は晩婚で37歳の年に5つ年下の夫と結婚しました。
年齢的に子供は無理かも、という話は結婚前に夫婦で意識合わせをしていました。
ただ、いざ結婚してみると、この37歳という年齢が微妙な揺さぶりをかけてきて、トライせずに後悔するよりトライしてダメならそれで終わりでいいよね、という気持ちになりました。
そこから妊活を始めて1年くらいで最初の妊娠をしましたが、11週で流産という結果になりました。
その後も妊活を再開しましたが、自身で40歳をデッドラインに設定していたのと、普段の生理に年齢による変化を感じ始めていたので、40歳になる前には既にもう妊娠しないだろうという心持ちになっていました。
40歳を迎えて、なんとなく少しの気まずさを感じて、夫に妊活を止めようと言えないまま過ごしていたのですが、ふと話すきっかけがありそこから避妊をきっちりするようにしました。
しかし、そのタイミングで妊娠の兆候があり、まさかのまさかで発覚しました。
正直に言うと、夫婦共々発覚の時点で年齢的・身体的・経済的に喜びより不安しか感じず、産み育てることを悩んでしまいました。
40歳という年齢のインパクトが個人的に大きかったように思います。
初期中絶の可能な時期ギリギリまで悩みましたが、夫婦で頑張ろうという話に落ち着きました。
この悩んでいた時期は週数でいうと11週になりますが、ここまでの妊婦検診では特に胎児に異常は見られませんでした。